【書評・要約】スタンフォード大学 マインドフルネス教室

マインドフルネスという言葉を聞く機会が増えていますよね?

『スタンフォード大学 マインドフルネス教室』では、日本生まれ、アメリカ育ちの心理学者であるスティーヴン・マーフィー重松さんが、マインドフルネスについて解説しています。スティーヴン・マーフィー重松さんは、もともとは東京大学の助教授でその後、スタンフォード大学で教授として、講義をしています。

スタンフォード大学で、講義をしている彼のマインドフルネスについての考えは、とても深く、共感できるところがたくさんあります。

では、どのようなことがこの本に書かれているのか見ていきましょう。

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マインドフルネスとは

「マインドフルネス(念)」という言葉は仏教修行の基本要素であるパーリ語の「sati(サティ)」に由来します。「sati」は、自分の真の性質に目覚め、物事をあるがままに見ることを表しています。他の何かになろうとせず自分自身であることを推奨する概念です。

マインドフルネスを考えるひとつの簡単な方法をして『ABC』という考え方があります。

A=Awareness(気づき)

自分が考えていること、していることをもっと意識的にできるようになること。自分の心や体の中で起きていること、自分の思い、感情、感覚を認識すること。

B=Being(存在すること)

価値判断や自己批判、そして何かを絶えずしていなければならないという考えを一時的にやめて、ただ自分の経験とともにあること。

C=Clarity(明瞭さ)

なんであれ自分の生活でおこりつつあることに注意を向けて、はっきり眺めること。自分が望むようにではなく、あるがままに物事をみること。

この『ABC』という言葉を覚えておけば、難しい概念であるマインドフルネスについて比較的、簡単に理解できると思います。

マインドフルネスで弱さを受け入れる

自分の弱い部分を受け入れることは難しいです。しかし、この本では、弱さは意識を変えて、ものごとを肯定的に捉える視点を手に入れるプラスのものとして解説されています。

弱さ=ヴァルネラビリティ(Vulnerability)とは、自分の世界観や、「妥当」「正解」「明白」「普通のやり方」についての前提を根底から疑うことです。自分が当たり前だと思っていたことが否定されたり、違う考えがあることを知らされると、それを受け入れることは難しいです。なぜなら、弱い立場に置かれているときには、自分の世界観が与えてくれる安心感を望むからです。しかし、その自分の世界観が与えてくれる安心感を捨てることで、他者や、他の分化を理解することができるようになるのです。

完璧な人間など存在しないし、完璧である必要もない。自分の弱さを受け入れた上で、努力をしたり、世の中を見ることが大切であることを気づかせてくれます。

本当の自分とは何か?

本当の自分を知るために大切な考え方として、『オーセンティシティ(Authenticity)』という言葉が紹介されています。

『オーセンティシティ』とは、自分が何者であるかを知り、自分の考えや感情に目覚め、自覚しながら、日常生活においてその姿でありつづけるという子である。

と書かれています。

マインドフルネスの考え方は、過去や未来ではなく、「今」を人生の最大の焦点とすることです。日常生活の中での一瞬一瞬の思考、感情、行動、創造を自分がどうするかは選ぶことができます。その選んだもので構成されたものが自分であるという考え方です。

オーセンティシティという考え方は、他人と自分を比べる必要がないことを教えてくれます。

比べるという行為は、劣等感と優越感という感情を引き起こします。世の中には、自分が臨んでいるものについて、自分より優れている人は必ずいます。したがって、比較は羨望や嫉妬を味わうことになる可能性がある非生産的な行為といえます。

しかし、比べることさえしなければ、そのような感情は生まれません。一人として全く同じ人はこの世に存在しません。全てのことを100%できる人など存在しないのです。つまり、誰もが比べられない独自性を持つ、唯一の存在なのです。

セラピーでも使われる受容の考え方

森田療法と平静の祈り

東京慈恵医科大学の精神科医であった森田正馬先生は、自分本来の性質を受け入れることが治療には不可欠だと考えました。

森田先生は次の行動によって自己承認、効果的な生活、自己実現へと至る方法を教えています。

・自分ができることを知ること

・状況が求めていることをしること

・そしてふたつがどう関係しているかをしること

森田先生は、コント-ロールできるものとできないものを見分けて、期待しすぎることなく現実を見ることで、人の気質を良い方向に成長させることができると考えていました。

この考え方はキリスト教の祈りのひとつである「平静の祈り(ニーバーの祈り)」と共通するところがあります。

God grant me the serenity to accept the things I cannot change

The courage to change the things I can

And the wisdom to know the difference

神様

私にお与えください 自分に変えられないものを受け入れる落ち着きを

変えられるものは変えていく勇気を

そしてふたつのものを 見分ける賢さを

森田先生の教えと、平静の祈りでは、世の中には、自分ができることとできないことが、あることを教えてくれます。自然災害、ケガ、病気など自分には変えることができないこともあります。

一方で、意見や、欲求、行動など自分で良い方向に変えようと思ったら変えることができるものもあります。

お金を稼ぎたいと思ったら、副業に挑戦する。時間が欲しいと思ったら、集中力についての勉強をする、テレビやユーチューブなどを見ているムダな時間はないか、時間の使い方を見直す。など、行動を起こすことによって良い方向に変えることできるものもあります。

人生がいつでも自分の望むようになるわけではないことを受容して、変えることができることに挑戦する大切さをこの本で学ぶことができます。

ACT(アクセプタンス・コミットメント・セラピー)

ACTとは、受容とマインドフルネスを用いたセラピーの現代西洋版です。

ACTは、受容とマインドフルネスを用いて、自分の私的な思いや感情、特に望まない思いにただ気づき、受け入れ、自分の一部と認めることを教えるセラピーです。

ACTでは多くの問題の核は、FEARとして表される次のようなものとしています。

Fusion:自分の思考との混同

Evaluation:体験の評価

Avoidance:体験の回避

Reason-giving:自分の行動への理由づけ

ACTはこのFEARにかかわる問題に対処する方法として、以下の指導をします。

Accept:自分の反応を受け入れ

Choose:勝ちに沿った選択をし

Take Action:そして、行動する

これらの受容に対する考えを通して、そのままの自分、そのままの状態でも自分が尊重してもらえるということに気づくことができます。その結果として、人生に新しい可能性を見つけることができることもあることを知ることができます。

人生では、受容と変化、受動性と積極性、流れへの順応と抵抗して進むことのバランスが大切だと、この本を読むことで学ぶことができます。

まとめ

マインドフルネスの考えを学ぶことで、物事に集中できるようになったり、自分を受け入れることができるようになります。

僕自身は、マインドフルネスという考え方が好きで、瞑想を今までに110時間以上やっています。困難にぶつかったら平静の祈りの考え方を用いて、解決不可能だから受け入れて、切り替える必要がある問題か、解決可能か、を見極めるようにしています。

いま、お金、健康、人間関係、夢などの悩みを持っている人は、『スタンフォード大学 マインドフルネス教室』を読むことで、問題の捉え方を変え、解決に近づけることができると思います。マインドフルネスについて知りたい方は、読んでみてください!