HSPという言葉をよく聞くようになりましたよね?
HSPとは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略で、ニューヨーク州立大学のエレイン・N・アーロン博士によって提唱された概念です。
大学生になると、大学、バイト、部活、サークルなどで幅広い年代の人、いろいろな考えを持っている人との関わりが増えます。また、飲み会、大きいイベントなどに参加する機会も増えます。
僕自身、大人数での飲み会、友人関係、大きいイベントへの参加が苦手です。HSPのテストを受けると、HSPと診断されました。
現在、医学部5年生で精神科に興味がある僕が、大学生活5年間を振り返ってみました。
そして、HSP気質の人が大学生活で気をつけること。ラクに過ごす方法を考えました。HSPで大学生活が大変だなと感じている人は参考にしていただけるとうれしいです。
みんなは楽しそうだけど、わたしは大学生活つかれるな(´;ω;`)
日本人向けのHSP診断テスト【論文からの引用】
HSPという知識を知って、思ったことは、この気質についての研究はちゃんとしたものなのか。ということです。
そこで、HSPが最初に提唱された論文『Sensory-Processing Sensitivity and Its Relation to Introversion and Emotionality』を読んでみました。この論文では、7回の実験について書かれていました。
大学でアンケートを取る。アメリカの小さな町で、ランダムに電話をかけてアンケートをとる。など、かなり力を入れて行われた研究ということがわかりました。
7回の研究で、統計学的に意味のある質問が選択されました。
そして、この質問を元に、日本人向けの質問項目が作られています。中京大学大学院で発表された論文です。自分がHSPか気になる人は、受けてみてください。
1.大きな音や雑然とした光景のような強い刺激がわずらわしいですか?
2.大きな音で不快になりますか?
3.一度にたくさんの事が起こっていると不快になりますか?
4.いろいろなことが自分の周りで起こっていると不快になりますか?
5.明るい光や強いにおい、ごわごわした布地、近くのサイレンの音などにゾッとしやすいですか?
6.忙しい日々が続くと、ベッドや暗くした部屋などプライバシーが得られ、刺激の少ない場所に逃げ込みたくなりますか?
7.一度にたくさんのことを頼まれるとイライラしますか?
8.短時間にしなければならないことが多いとオロオロしますか?
9.他人の気分に左右されますか?
10.ビクッとしやすいですか?
11.競争場面や見られていると、緊張や同様のあまり、いつもの力を発揮できなくなりますか?
12.強い刺激に圧倒されやすいですか?
13.痛みに敏感になることがありますか?
14.子供の頃、親や教師はあなたのことを「敏感だ」とか「内気だ」と見ていましたか?
15.生活に変化があると混乱しますか?
16.微細で繊細な香り・味・音・芸術作品などを好みますか?
17.自分に対して誠実ですか?
18.美術や音楽に深く感動しますか?
19.豊かな内面生活を送っていますか?
髙橋亜希. (2016),「Highly Sensitive Person Scale 日本版 (HSPS-J19) の作成」,感情心理学研究, 第23巻,第2号, pp.68-77.
全体平均;86.68点 男性;83.07点 女性;89.15点
サブ項目について
低感覚域(感覚閾値の低さ)=質問1〜7
全体平均;31.03点 男性;29.61点 女性;32.01点
易興奮性(刺激にどれだけ振り回されやすいか)=質問8〜15
全体平均;37.48点 男性;36.06点 女性;38.45点
美的感受性(芸術や音楽に心を動かされる)=質問16〜19
全体平均;18.17点 男性;17.41点 女性;18.68点
また、HSP研究の第一人者であるアーロン博士がつくった無料の診断テストもあります。日本人向けのものだけでなく、こちらも受けてみたいと言う人は、受けてみてください。
HSPの大学生が気楽に過ごす方法
上のテストで、HSPのスコアが高かった人、HSPっぽい友達がいると思った人、はHSPの人がどういうふうな大学生活がラクなのか、紹介しているので参考にしてください。
飲み会はやんわりと断る用意をしておく
HSPの大学生は、大人数の飲み会や宴会が苦手な人が多いと思います。断ることも苦手だと思うので、断る方法を考えておくと良いと思います。
やんわりと最初に謝罪をいれてから断ると角が立たずに断ることができます。
大勢の飲み会に行っても、あまり得るものはないように思います。飲み会は必ずしも行かなくては行けないものではありません。
大人数での飲み会が好きではないけど、少人数で飲みに行くのは好き。という人は、同じ考えの人と飲みに行けばいいのです。人数が少ないほうが深い話もできて、仲も深まるのでおすすめです。
信頼できる友達をつくる
大学生になると集団でご飯を食べたり、いつも行動をしているパリピが目立っていると思います。
しかし、HSPの人は、エレイン・N・アーロン博士によると15〜20%ほどいるようです。つまり、似た性格の人は5人に1人いるのです。
そう考えると、無理に外交的な人で構成されているグループに入るのではなく、同じような性格の人を見つけて仲良くなったほうが気がラクです。
お互い話しかけることも苦手なので、見つけるまでは大変だと思います。しかし、同じような性格の人が一定数集まっている部活やサークル、バイトなどがあります。
僕は、飲み会・大会の参加が自由、練習の参加自由、活動は週2回、飲み会のコールなし、という部活に入っていました。幹部のときは、この自由を守るためにフルで出席しました。しかし、幹部の代以外は、ただただ楽しんでいました。
このような部活、サークルも一定数はあると思うので、興味をもった活動には一度、見学に行ってみてください。
ごはんは無理に学食に行かない
学食に行くと、びっくりするくらい混んでますよね。無理に学食で食べる必要はないと思います。コンビニで買ってきてベンチで食べたり、お昼くらいは抜いたり、工夫してみるといいと思います。
僕は、人がいっぱいいるところは苦手なので、基本的には、空きコマに食べたり、抜いたりしていました。休憩時間は、基本的に図書館で勉強したり、本を読んだりしていました。
一人で食べるのが苦手な人は、他に一人で食べている人の近くで食べたり、学食の端っこで食べたりするといいと思います。
すこし工夫して見るだけで、時間を有効的につかえたり、ストレスを減らすことができます。
一人になりたいときは図書館に行く
HSPの大学生にとって最強の場所は、図書館です。なぜなら、図書館は一人になれる&人にほぼ話しかけられないからです。
僕は、大学生になってから空きコマはいつも図書館、お昼休みも図書館、放課後も予定がある時間までは図書館で待機。と図書館をめちゃくちゃ活用しています。
授業を数十人〜100人ほどの大学の講堂で受けるだけでもストレスになる人もいると思います。ちょっとひとりになりたいな。と思ったら図書館を活用してみてください。
趣味を充実させる
HSPの大学生は、ふつうの大学生みたいに外に遊びに行ったり、誰かと外食をすることが苦手な人もいると思います。したがって、趣味を充実させることは重要です。
いまの時代は、低価格で本を読んだり、映画、ドラマ、アニメをみることができます。
平日は大学で頑張ったら休日は映画を見てゆっくりしたり、ドラマやアニメを一気に見るという時間の使い方もいいと思います。
また、大学で気の合う人がなかなか見つからない人は、バイトをしてみるのもいいと思います。僕は、カフェのバイトをしていました。みんな穏やかな人が多く、楽しく働いていました。
休日は無理せずちゃんと休む
HSPの大学生は、刺激に対して非常に敏感で、繊細な気質を持っています。したがって、ふだんの大学の授業に出席するだけでも他の大学生より疲れてしまいます。
僕は、授業がオンラインになって、先生や他の生徒から見られていると認識するだけで疲れてしまいます。
あまりにもふだんの授業で疲れてしまう人は、休日は一人になれる時間や趣味に没頭できる時間を作ることが大切です。
心理学を勉強してみる
心理学を勉強してみると、HSPという気質をうまく利用できます。
たとえば、HSPの人は、繊細なぶん、共感能力が高いと言われています。共感能力が高ければ、人の気持がわかり友人の相談に乗ってあげたりできます。部活、バイト、学部などの組織で、人間関係が問題になる前に対処できます。
また、誠実性が高いということも言われています。勤勉で細かいところまで、質を高めたくなる傾向があります。この傾向を使ってレポートや課題をすると、いいものができます。
このように、心理学を学ぶことで、HSPをプラスにする方法を思いつきます。
心理学の中でもマインドフルネスを学ぶと、敏感なメリットを残しつつも、落ち込みやすい、疲れやすいというデメリットを和らげることができます。
マインドフルネス研修などを提供する一般社団法人・マインドフルリーダーシップインスティテュート代表理事の荻野淳也氏は、簡単なマインフルネスの方法として呼吸に意識することを勧めています。
練習方法としては以下の方法をおすすめしています。
意外と5分でも大変なので最初のうちは、2〜3分だけでもいいと思います。
僕は、マインドフルネスの元祖であるジョン・カバット・ジンの本を読んで、800日間毎日10〜20分、長いときは50分ほどの瞑想をしています。興味がある人は読んでみてください。
まとめ【自分にあったライフスタイルをみつけよう】
大学生は、飲み会、バイト、恋愛、旅行、勉強などいろいろやりたいことが多いと思います。やりたいことを予定いっぱいに詰め込んで、毎日外に遊びにでかけるという生活も楽しいと思います。
しかし、HSPの大学生は、大人数の飲み会に行ったり、たくさん旅行をしたり、積極的に恋愛したり、という生活を楽しめるわけではありません。
自分に合った友達、団体、ライフスタイルをゆっくり見つけて、力を入れすぎず、楽しめるキャンパスライフを送ってください( ´∀`)
【参考文献】
Aron, E. N., & Aron, A. (1997). Sensory-processing sensitivity and its relation to introversion and emotionality. Journal of Personality and Social Psychology, 73, 345‒368.
髙橋亜希. (2016),「Highly Sensitive Person Scale 日本版 (HSPS-J19) の作成」,感情心理学研究, 第23巻,第2号, pp.68-77.
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