【書評・要約】相手は変えられないならば自分が変わればいい−ラス・ハリス−

『相手は変えられないならば自分が変わればいい』というタイトルの本書は、医師で心理療法士のラス・ハリスによる書かれた本です。

パートナーとうまくいかない、相手が要望に応えてくれない、恋愛に疲れた、パートナーとの関係を豊かなものにしたい、という人が読むととても参考になります。

本書で、特にいい考え方で、パートナーとの日常で使いやすいな、と思ったマインドを紹介します。

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「私は正しい、間違っているのはそっち」の物語

「私は正しい、間違っているのはそっち」の物語は、本書で一番大切な考え方です。多くの人が、パートナーとの関係で、自分が正しく、行動を変えなければいけないのは相手だ。と考えています。

実際に、相手の言っていることが間違いで、自分の言っていることが真実という場合もあると思います。しかし、自分にとって重要なことは、相手が間違っていて自分が正しい。という主張を通すことではないはずです。

本当に大切なことは、自分と相手との関係にとってなにが一番役立つか。です。つまり、真実かどうかよりも、二人の関係が良くなるような会話や行動が大切ということなのです。

僕自身、相手との関係が良くなる発言、行動をする。という考え方を実践し始めて、パートナーとだけではなく、人間関係全体がラクになりました。

自分が知っている科学的に正しい知識、自分が正しいと思っている考え方を相手に押しつけてもほとんどの場合は、プラスになりません。

相手との関係を良くすること。自分にとって本当に大切なこと。を認識することができます。「私は正しい、間違っているのはそっち」の物語という考え方を実践してみてください。

ルールと価値

ルールと価値の違い【→ルールに縛られすぎると問題が起こる】

ルールは、適切な場面では役に立つものです。たとえば、車のスピードをどこまで出して良いのか。レジでは順番を守る。図書館で騒がない。などです。

しかし、ルールに縛られすぎると問題が起こることがあります。とくにパートナーとの関係で、価値とルールには以下のような違いがあります。

ルール:私はパートナーの欲求を考慮してやらなければいけない。

価値:私はパートナーの欲求を考慮していきたいと思う。

ルール:パートナーとより良い時間を過ごさなくてはいけない。そうするのが正しいことだから。

価値:パートナーとより良い時間を過ごすのは自分にとって大事なことだ。私が望む関係を作り上げるのに重要だから。

このようにルールと価値には大きな違いがあります。価値に従って行動することで、大きな柔軟性を得ることができます。ルールに従ってしまうと柔軟性が無くなってしまい、対立の火種になります。

たとえば、父親は家族の生活が豊かになるために残業をします。一方、母親は、家族の生活が豊かになるために仕事から早く帰って来てほしいと思っているとします。

父親、母親の目的は同じはずなのに、残業をしてお金を稼がなければいけない。家族と長い時間を過ごさなければいけない。というルールに縛られると対立になりかねません。

お互いの価値を確認し合うことで家族の生活が豊かになる方法を考えることができます。

関係性でうまくいっていないときに、価値を確認し合うことがプラスに働くと思います。

価値において「正しい」「間違い」は存在しない

価値において「正しい」「間違い」は存在しません。なぜなら、価値とは、ひとりひとり違うもので、この世の中に全く同じ価値観の人はいないからです。

アイスでバニラが好きかチョコが好きか、お菓子でチョコが好きかクッキーが好きか、という違いなのです。
(もちろん、社会には「倫理」「道徳」「行動規範」と言われるルールがあります。しかし、ここで議論する価値はパートナーとの関係についてです。)

意味のある関係に不可欠なものがあります。それは、接続・気遣い・貢献です。この3つは愛・温かさ・親密さという建物の土台です。

接続…パートナーと考え、気持ちを共有したい。心を開きたい。結びつきを強めたい。
気遣い…パートナーの側にいてあげたい。助け、サポートしたい。もっと受容的で寛大になりたい。
貢献…援助、励まし、助言など与えられるものすべてをパートナーに与えたい。支え、助けになる存在になりたい。

パートナーと緊張、対立が起こったとき「気遣い・接続・貢献」という価値をもちこむことができたらどういうことが起きるか想像してみてください。関係は悪くなるよりも相手のことをより理解できるようになると思います。

本書で何度も出てくる「LOVE」とは?

本書では「LOVE」の頭文字を使って、パートナーとの関係が良くなる考え方を解説しています。そして、「LOVE」の考え方は、本書を読んでいると何度も出てきます。そこで、これらの頭文字について解説します。

L…Letting go;思考を解き放つ

LOVEの「L」は「Letting go;思考を解き放つ」です。心は、勝手に過去の記憶からパートナーの欠点や弱点を指摘したり、不平を言ったり、非難したり、比較し、批判します。思考を解き放つとは、これらの心のささやきから解き放たれることです。

O…Opening up;心を開く

LOVEの「O」は「Opening up;心を開く」です。親密な関係だからこそ、ときに苦痛を感じることもあると思います。苦痛な感情がわきあがると、私たちは回避し、追いやろうとします。その結果、パートナーと距離をおき、全てをシャットアウトしてしまうこともあります。

わきあがった感情に、そこに存在してあげることを許してあげる。ということが心を開くということです。つまり、つらいなという感情を受け入れてあげるということです。

V…Valuating;価値づけする

LOVEの「V」は「Valuating;価値づけする」です。

何も考えないでふとした一言で、相手を傷つけたことは、多くの人が経験しているのではないでしょうか?これは、価値に基づいた行動ではありません。

意識的で価値に基づいた行動をとることで、相手のことを考えない無意識的な反応が減ります。そして、パートナーを思いやる、パートナーに貢献する、パートナーとつながる、という健全な関係に大切な価値にそった行動ができるようになります。

E…Engaging;現在に集中する

LOVEの「E」は「Engaging;現在に集中する」です。現在に集中するとは、心に囚われるのではなく、パートナーに対して純粋な興味とオープンな心を持って接することを指します。この結果、相手を無視したりはねつけるのではなく、向き合うことができるようになります。

LOVEは素晴らしい考えだが万能ではない

「LOVE;思考を解き放つ、心を開く、価値付けする、現在に集中する」を実践することは、パートナーとの関係で役に立ちますます。

争いをやめる、対立を解消する、違いを認める、パートナーを思いやる、つながる、深く結びつく、などです。

しかし、LOVEは万能ではありません。すべてのカップルが緊張や対立を経験するのです。このとき、大切なことは、自分が傷ついているときは相手も傷ついているということを忘れないことです

まとめ【自分が変われば世界が変わる】

本書を読めば、パートナーとの関係を良くする新しい考え方を知ることができます。

多くの人が、相手にして欲しいことを求め、自分が正しいと主張します。しかし、そうすることではパートナーとの関係は良くなりません。

パートナーとの関係を良くすることが大切ならば、自分が変わるべきです。自分のこの発言、この行動は、パートナーとの関係を良くするのか?ということに価値をおくようにするとパートナーとの関係もいまより良いものになると思います。

自分の考え方ひとつを変えるだけで世界が変わってみえます。ぜひ、実践してみてください(*´∀`)

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