この本は、HSPの第一人者であるエレイン・N・アーロン博士による本です。
HSPとは、Heighly Sensitive Personの略で、「ひといちばい敏感な人」を言います。HSPは、、人口の15〜20%を占め、研究によって確立されている概念です。
本書は、HSPも非HSPも合わせて1000人にアンケートをして、HSP-HSP、HSP-非HSPカップルの問題。HSPの交際における強み、弱み。性生活。別れてしまうこともあるのか。
など、恋愛の観点からHSPの特徴を解説しています。そして、HSPにとって、また、HSPと付き合う人に役立つ情報が書かれています。
僕自身、かなりのHSP気質で医学部の実習で患者さんが痛がっているのを見て、何度か意識を失って倒れています。そのため、本書はとても参考になりました。
ここでは、本書で取り上げられている交際で実際に使えそうなマインドを紹介します。
※自分がHSPかどうかを知りたい人はこの記事でテストを受けてみてください。⬇
HSPにとって親密になることの恐怖
ありのままの自分を出して拒否されることへの怖れ
誰でも、自分の弱みを見せることは怖いと思います。特にHSPは自分の敏感さや欠点がばれることをひといちばい、怖れています。
打ち明けたときの相手の反応をより敏感に感じ取ってしまうからです。
本書では、自分の弱みは、パートナーに打ち明けることをおすすめしています。
たしかに、弱み、敏感さを明かしたことで、相手の信頼やイメージが変化し、関係が変わったり、終わったりすることもあるかもしれません。
しかし、こう自分に問いかけてみてください。
「本当の自分を隠してまで、その人と一緒にいたいのか?」
この問に関する答えを考えておけば、失うものは少ないはずです。
大切なパートナーには、自分の弱みを受け入れて欲しいですよね。そして、本当に大切な人なら弱みや敏感さも受け入れてくれるはずです。
相手に飲み込まれることへの怖れ
HSPは、相手の求めにも相手の無意識にも同調しやすいです。したがって、誰かの求めや、痛みに共感し、自分を見失うのではないかと不安になりがちです。
たとえば、パートナーとの関係の中でも、相手を喜ばせないといけないというプレッシャーを感じている人も多いのではないでしょうか?
しかし、本当の愛というものは、あなたの犠牲の上に成り立つものではないはずです。
HSPが相手に飲み込まれそうになる怖れは、非難や正論だけでなく、褒め言葉からも影響されます。
もしパートナーが、あなたの専門や仕事ぶりを誇りに思っているとします。するとHSPはもっと休みたいと思ってもゆっくりしていられない気分になってしまいます。
これらの怖れや感じることをパートナーに正直に打ち明ける。そして、相手に受け入れてもらうことが大切です。
コミットメントの怖れ
HSPは、相手に対して、誠実でありた、できれば一生と思う傾向にあります。この性質はプラスの面もありますが、繊細な不安を抱かせる原因にもなります。
・お互い相手を間違えていないだろうか?
・相手を裏切らないか?傷つけやしないか?
・この人に依存されたらどうしよう?
・もし責任を果たせなければ、ダメカップルと見られるのか?自分もそう感じるのか?
などです。
本書では、これらの不安に対する方法として、“自信を持って決められないこともある”と認めることを勧めています。
前に進むためには、すべてのことが自信を持って決められるわけではない。と意識することも大切です。
HSPと非HSPカップル
アーロン博士の研究によると、HSPの半数が非HSPをパートナーにもつようです。HSP-非HSPカップルのよいところ、問題点をみていきましょう。
HSP-非HSPカップルのよいところ
価値観を広げることができる
自分と違うことにも柔軟になれるので、たくさんのことを達成したり、経験できます。
お互いのいいところを尊重してチームになれば、HSPのあなたが細やかなことに気がつき、非HSPのパートナーがそれに基づいて動いてくれます。
HSPのあなたが、刺激に疲れ切っても、非HSPのパートナーが守ってくれる安心感があります。そして、限界まで頑張ることができます。
HSPのあなたが冒険を増やせる
HSPは、非HSPのパートナーが行動を起こすので、色々なことに挑戦できます。
一人では、行かないようなお店に行く。海外旅行に行く。イベントに参加してみる。など、HSPには実行することがハードルが高いこともパートナーと一緒ならできるかもしれません。
非HSPのパートナーが気づかないことに気づいてあげられる
HSPは人間関係にも敏感です。二人の関係が完全に壊れてしまう前になんとかしようと行動できます。
また、パートナーの無理な計画、楽観的すぎる行動にも気づいてあげることができます。また、HSPは、自分の体調にも敏感です。したがって、健康的なライフスタイルを作ることができることもメリットです。
HSP-非HSPカップルの問題点
二人の気質の違いから、相手に共感しようとしても、なかなか難しいことがあるという問題点があります。
実際にHSPが非HSPと一緒にいると幸せ度が低い傾向がほんの少しあるようです。しかし、その傾向はごくわずかで、HSP同士のカップルよりも幸せなカップルもたくさんあるようです。
本書では、この違いの解決策を紹介しています。
優先事項を決め、いくつかの夢を切り捨てる。一人部屋、少なくとも一人だけの空間を作る。パートナーに負担でなければ、あなたがちゃんと生活習慣、生活リズムを守れるよう、パートナーに協力してもらう。時間に余裕を持つ。
これらの解決策をパートナーと実践することが良い関係をもつために大切です。
HSP同士のカップル
HSP―HSPカップルは、同じ気質で共感しやすく、いい関係を築きやすいと思うかもしれません。
しかし、敏感さが二重に存在することで問題になることがあります。HSPカップルのよいところ、問題点を見ていきましょう。
HSPカップルのよいところ
お互いを理解できる
HSP同士だと、相手の考えを理解することができます。
本書では、一人の時間を作り出すために、パートナーに仕事だと嘘をついていた例が挙げられています。
「嘘をつかれてると知ったとき、動揺もしましたが理解もできました。」
このように、相手に自分の弱い部分を隠そうとして嘘をついたりしても、理解し合える可能性が高いです。
一緒にいて心地いい
HSP同士だと、刺激の最適レベルが同じくらいのことが多く、身体的に心地いいです。価値観と認識がたくさん一致します。ささいなことにも、お互いが気づき感情を共有できます。
・社会的正義や環境保護の大切さ
・内的な生活への取り組み
・生きる意味を考えること
などについて考えが合うことが多いようです。
HSPカップルの問題点
HSPは非HSPよりも、HSPと一緒のほうが少しだけ幸せなようです。しかし、非HSP同士のカップルよりも交際が不幸せになりがちです。
この理由としては、アンケートを取る際、交際の満足度を測る質問に深く考えて答える傾向があるからだと考えられます。HSPはいろいろな面から考え、正反対の気持ちも受け止め、真剣に慎重に回答しているのでしょう。
しかし、これ以外にも、HSPの満足度が低い理由として、HSPの約半数が「幼少期に問題があって、成人してからの愛着スタイルが不安定型だとインタビューで報告している」ことも関係しているかもしれません。
交際において、
・不安定
・感情がネガティブ
・神経症(不安、鬱)
だと幸せ度は減ってしまいます。
解決策として、本書ではHSP同士のカップルの問題点の解決策を紹介しています。
役割をそれぞれの好みに応じて分担する。喧嘩したときのことをあらかじめ話し合っておく。最終決定の前に寝かせる。重く受け止め過ぎないようにする。自分のこともパートナーの敏感さもしっかり肯定する。
これらの解決策を実践して、相手の敏感な心理や、人間関係の心理に得意なことを活かして、助け合うことが大切です。
まとめ【HSPの性質を理解して、よいところを活かそう】
HSPは、遺伝子的に決まる部分もあります。
脳内のセロトニンの動きを決定する遺伝子は、セロトニントランスポーター遺伝子です。セロトニントランスポーター遺伝子は、3通りの型があります。S型を2本もつSS型、L型を2本持つLL型、S型L型を1本ずつ持つSL型です。
2012年、デンマークのコペンハーゲンにある統合的分子脳イメージングセンターのセシリエ・リヒトらは、HSPのセロトニントランスポーター遺伝子についての研究を発表しました。この発表によると、多くのHSPは片方にS型を持っているようです。
このように、HSPは遺伝や幼少期の環境にも影響を受けて獲得する気質です。
HSPの気質は、マイナスだけでなく、プラスの面もあります。本書を読むことで、HSPがどのように交際をしていくとうまくいくのか。問題となりやすいことを知ることができます。
HSPでパートナーとの関係に悩んでいる人は、読んでみてください(*´∀`)